1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 桃は呆然と私を見つめてきていて、それからいきなり吹き出して笑い出した。

「え、なんで笑うの!?」

「だ、だって。まさか写真で撃退って、最新すぎる…!」

「そこ笑うとこ~!?」

 思わず叫んだら桃は地面に転がって笑い転げる。制服がどんどん汚れていく。

「桃!制服!汚れるから!!」

「え?あぁ、気にしないで。もうすでに2枚目だし」

「え!?」

「前は制服切られたからね。予備はいつも持ってんの」

 さらりと言ってのけた桃に思わず言葉が詰まる。

 そんな、簡単に言うけど、そんなにひどいいじめを…。

 桃はやっと立ち上がって、軽く制服を払う。

「助けてくれてありがとね?」

「…なんで、清牙くんに言わないの?」

「は?…何?清牙助けてって、助けを求めるの?何それ」

 あまりにあっさりとした言葉に思わず言葉が詰まる。

 助けを求めないつもりだったの…?

 桃は切られた髪の部分を見てうわぁとか言いながらもさほど気にしないような顔をしている。

 ちょっと疲れたように桃は体育館倉庫の壁に背を預けた。
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