1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 しばらくして、清牙くんは起きて大あくびした。

「あれ、桃来てたのか」

「おはよ、清牙。この子が紅葉ね」

「よろしくね」

「ん、よろしく」

 頭をかきながら起き上った清牙くんは、またあくびして、私を見た。

 その時にはもう完全に起きてる顔だった。

「桃と同じクラスなんだっけ?」

「うん、そう。昨日友達になった」

「そっか。桃こんなんだろ?敵も作りやすいから、仲良くしてやって」

「清牙、ひとこと余計よ!」

「っほんとのことだろ?」

 箸を突き出した桃に思わずひるんだ清牙くんは、引きつった顔をする。

 桃、容赦ないのね…。

 清牙くんも弁当を開けて、のんきに食べ始める。

 その間もいろいろ話をして、桃は私と変わらない態度で清牙くんと接してる。その姿に、媚びてるなんて思ったのが大きな間違いだって分かる。

 桃は清牙くんにはどこまでも普通なんだ。

 普段見せてるのは、ただ、本当に気に入らない人たちに対する態度だったみたい。

 そう思ったら、ますます桃のことが好きになった。
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