1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「…颯人、お前寂しくねぇの?」

 おかしいな。こんなに雑談するような感じじゃなかったのに。

 今日の晴野くんは口がよく開く。

「寂しい?」

「お前、友達は?」

「…いないよ。必要ないし。勉強する時間、取られたくないし」

「そんなに行きたい大学、あるのか?」

「あるよ。…晴野くん、邪魔、しないでほしい。キミの勉強を教えるのは構わないけど、この話、関係ないよね?」

 これ以上話し続けるのはつらい。だから、これ以上話しかけてこないように線引きする。

 所詮、ライバルだから。晴野くんも、他の子たちも、みんなライバルだから…。

 晴野くんはなぜか表情を少しだけ歪めて、悪いなんて言って視線を落とした。

 それからの空気はどこかギスギスして、今まで心地よかったのに、なんでこうなるんだろう。

 次の日、晴野くんは図書室には来なかった。
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