1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「颯人さん、普段は優しいですけど、怒ったら1番怖いです」
「蓬、お前怒られたことあんの?」
「むしろ怒られたばっかりですね。私のしつけ役状態でしたので」
「しつけ…役?」
「6人で子育てしてたようなもんだろ?清牙と桃はまぁ親らしくしてるけど、やっぱ甘やかすし。紅葉は完全に甘やかしてたな。俊也が遊び相手で、俺が多少叱りつけたりして。颯人だけが完全に厳しいしつけ役だな」
剣人の説明に秋空くんの表情がますます変わる。僕はよっぽど優しいと思われてたみたいだね…。
「あれは鬼よ。鬼。5歳の子に名前漢字で書かせようとすんのよ?もうよも大泣きしちゃって、あれはかわいそうだったわ…」
「まぁ、あの時は俺らとよもの今後のことを思ってやってくれてたことだけどな」
「よもが敬語になちゃったのも元をたどれば颯人のしつけのたわものね」
いろいろ暴露されてるけど、秋空くんは呆然としたままだ。
よもぎちゃんに嫌われなかったのは、正直奇跡だと思う…。
「よももよく颯人のこと嫌いにならなかったよな」
「え?颯人さん出来なかったら怖いけど、できた時はいっぱい褒めてくれたんですよ。だから嫌いになりようがないです」
「だそうよ。よかったわね」
紅葉に肩を叩かれて、よもぎちゃんに微笑む。ほんとに、面白い子だ。