1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
公庄先生の視線はあきくんに向きました。
「神野はどうするんだ?」
あきくんの表情が一瞬凍りつく。でも、それをすぐに隠して手を動かし続ける。
「就職する。大学行く必要ねぇし」
「神野、もう少し考えたらどうだ。前は行くか悩んでるって言っていただろう。お前の成績なら公立も…」
「だから、行けねぇって言ってんだろ!」
公庄先生の言葉を遮ったあきくんに思わず手が止まる。
あきくんははっとして、私を見ると視線をそらしてしまう。
「…わり。バイトあるからもう行くわ」
「え、あ…あきくん!先生、すみません失礼します」
「晴野!」
先生の制止を振り切って走り出す。
部屋を出ればあきくんはまだそう離れていなくて、その距離を走って埋める。
「あきくん!」
「っ…蓬、お前は」
「一緒に帰ります!置いていかないでください!」
背中に思いっきり体当たりしてしまいました。
あきくんは振り返ると困ったような顔をして、視線をそらしてしまう。