1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「ッ…」
体が勝手に動く。右手で携帯を操作して、着信先には若さんの名前。
『よもも?』
「若さん!借金取りです!」
『っな!?よもも、どこだ!!』
「秋空くんの家です!私の家から歩いて10分、公園から5分。南西の方角です!」
『分かった。よもも、持たせられるか!?』
「持たせます!!」
携帯を放って、階段を下りてきた男を走った勢いで蹴り飛ばす。
地面に着地したと同時に、まだ驚いて動けない男の腹に蹴りを入れる。
あきくんを拘束する手が緩む。あきくんの体を無理矢理引き寄せて階段の方に押しやる。我に返った男の1人が私を睨む。
「てめぇ!何してくれんだ!!」
「蓬!?」
男の手が伸びる。それを無視して、男の急所を狙って思いっきり足を振り上げる。見事命中!みっともない姿で地面に転がってくれました。