1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「秋空、どうする?大人しくしてるなら退院してもいいぞ」

「あきくん、一緒に帰りましょうよ。病院怖いので嫌です」

「入院してもいいぞ。よももおまけで付いてくるみてぇだし」

「剣人さんが意地悪します…」

 俺に聞いてるはずなのに、蓬も剣人さんもふざけてる。清牙さんは笑って、蓬を撫でた。

「剣人、残念ながら2人とも連れて帰るからな。うちのチビどもが2人の帰りを待ってる」

「なら、俺も後で行くわ」

「…俊也連れてくんなよ」

「分かってるって。あいつうるせぇし」

 蓬と清牙さんに手伝ってもらってベッドから降りる。結構体中痛いな、これ…。

「あ、やべ薬だすの忘れた。ちょっと待ってろ」

「おい、いつものとこでいいのか?」

「総合受付の近くだ~!」

 剣人さん走って行ってしまった。そんなにあわてなくても大丈夫なのに…。

 借金取りの話なんか一切しないで、楽しげな雰囲気を作ってくれる。薬が出るまでも、蓬が甘えてきたりして、なんか和んだ。
< 470 / 523 >

この作品をシェア

pagetop