1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「よも、秋空くん、ご飯食べちゃって片付かない」

「あれ、お父さんずるい!」

「遊んでるからだろ?」

 蓬に肩を借りて、食卓につく。久しぶりに食べた鍋は、雑炊までしっかりやった。

 食べてる間にも智希と望亜がちょっかいかけてきて、蓬が大笑いしてたけど。

 よもと桃さんが並んで片づける。

 手伝いたかったけど、立ってるのがきつい今、それは無理だ。…早く治ねぇかな。

 ソファをさっきから占領してるみたいで申し訳ない。ビールを片手にした清牙さんが振り返って笑う。

「秋空くん、よもの部屋でいいか?」

「え?あ、はい…って、え!?」

「何焦ってるんだ?何かするわけでもないだろう」

「いや、あの…そうですが」

「まぁ、その怪我なら手を出したくても出せないはずだしな」

 清牙さん、確信犯か…。

 顔が勝手に熱くなる。遊ばれてるだけだって分かってるのに、体の方は素直で…。やばい。持つかこれ…。

「あきくん、お風呂…熱でも上がったんですか!?」

「ち、違う」

「…あきくん?」

「蓬、やめてやれ。男の事情ってやつだ」

「はい?」

 誰がそうしたですかなんて死んでも言えねぇ。不思議がる蓬に大笑いする清牙さん。…勘弁してくれ。

 その後やって来た剣人さんにまでいじられて、散々な目に会った。
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