1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 終業式。とは言っても式と、成績表の配布だけですが…。

 午前中にさっさと終わった終業式です。来年もほぼこのまま繰り上がりだそうです。ということは来年もあきくんと雷斗くんと同じクラスですね。嬉しいです。

 終業式が終わった学校から直接駅に向かう。お見送りです。

「雷斗、こいつ家まで送ってくれ」

「言われなくてもちゃんと送るし」

 雷斗くんもなぜかお見送りに参加しています。スポーツバックを肩にかけたあきくんが苦笑いして、私に視線を向ける。

「今日は向こうで泊まって来るから。明日、連絡する」

「…はい。待ってます」

「俺がいない間にトラブル起こすなよ」

「んな!?起こしませんよ!失礼な!!」

 笑っているあきくんをぽかっと叩くと、ごめんごめんと頭を撫でられてしまいました。怒りたいのに怒れない…。

「じゃ、行ってくるな」

「いってらっしゃい」

「もう帰って来なくてもいいけどな」

「っは、ぬかせ」

 あきくんと雷斗くんの会話は謎です。

 改札を通って行ってしまったあきくんに手を振って、見えなくなってしまったところでお見送り終了です。
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