1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「そりゃ、最初は怖くて仕方なかったですよ。どれだけ無視しようとしても話しかけてくるなんて、あきくんが初めてでしたし」

 そう、ずっと最初は怖かった。

 またいじめられるんじゃないか。また学校に行くのが怖くなるんじゃないか。また裏切られるんじゃないか。

 怖くて、怖くてたまらなかった。

 だけど、あきくんはふとした時から優しくなって、気づけば甘えるようになっていった。

 あきくんの強さに、思いに、安心して、傍にいたいって思うようになって。

 でも、それはなんなのか、分からなくて。

 ただ、自分に優しくしてくれる友達なんだって、そう思うことでほっとしていた。

「まぁ、今こうしてられるなら、アタックしまくってよかったけどな」

「そうですね」

 でも、今は違う。友達以上に、大切な人。

 あきくんは笑って、私を見つめる。その視線がどこか熱い。
< 513 / 523 >

この作品をシェア

pagetop