1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「ともくん、おしゃべりしよ?」

「いいよ!」

 いっぱい遊んで疲れちゃった。

 ベンチに、ねーねとあきら兄ちゃんの間に座った。

「ともくん、もうお兄ちゃんいや?」

「…うう~ん…いやじゃないよ」

「さっきはいやだったんだね」

「うん。さっきも、きのうもいやだった」

 黒いもやもやがどこかに行っちゃったのかな?

 お兄ちゃんは嫌だけど、絶対もう嫌じゃなくなった。

「ともくん、嫌ってなったら、お姉ちゃんに言える?」

「…やだ」

「やなの?」

「うん」

 ねーねに言うのはヤダ。

 だって、ぼくはお兄ちゃんだもん。ねーねも守るんだもん。

「じゃあ、お父さんに言える?」

「…ダメ!」

 パパもダメ。パパはお兄ちゃん頑張るって、おとこのやくそくしたんだもん!

 だから、やだ。パパと約束守れないもん。
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