1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「ねーね、なんであかいの?」

「え…う~ん、なんでだろうね」

 ねーねも分からないことあるんだね。
 あきら兄ちゃんは、知ってるみたいだけど、教えてくれなかった。

 でもいいもんね。
 ねーねはあきら兄ちゃんが守ってくれるから、ぼくは迷子にならないように教えてあげるんだもん。

 お家が見えてきた。

 望亜にごめんねってしなきゃ。ぼくはお兄ちゃんなんだもん。頑張れるもん。

「ともくん、ありがとね」

「うん!」

 ねーねになでなでしてもらって、もう大丈夫。お家のドアを開けた。

「ただいまー!!」

「おかえり。とも」

「おかえり」

 ママとパパの声がする。
 望亜が走ってきて、ねーねじゃなくてぼくにぎゅってした。

「にぃに、ごめんなちゃい」

「ううん。ぼくもごめんね」

 望亜をぎゅってすると、もっとぎゅうってしてくれた。

 やっぱりぼくはお兄ちゃんやめちゃダメなんだ。望亜と咲ちゃんを守らなきゃ!
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