クレソン・スピリッツ
「ぼく。見たんだ」

「見たって、何を?」

「その……」

子どもは言いにくそうに
モジモジした。

「怒らないから、言ってみ?」

「……マリオンお姉ちゃんが」

「マリオンが?」

「もう、三日も戻らないんだ」

「三日か……。
仕事とかじゃないのか?」

「……」

「何か、知ってるんだな?」

「絶対、怒らない?」

「怒らない」

「あの二人に秘密だよ」

「約束する」

子どもは小指を差し出した。
ジーナは小指を絡めて誓う。
< 11 / 31 >

この作品をシェア

pagetop