クレソン・スピリッツ
ミケル・マスデージは露店の一つで
果物の詰め合わせを買った。

これから向かう場所を考えると、
手土産にするには
少々的外れな気がしないわけではなかった。

露店を抜けたところで、
栗毛の少女とぶつかった。
少女は酷く急いでいるようだった。

「すみません。お怪我は?」

「だ、大丈夫。私こそ、悪かった」

走り去ろうとする少女。
その手足、服から露出している肌には、
いくつもの傷や怪我が見て取れた。

「お嬢さん、怪我が……」

「大丈夫。掠り傷! じゃ!」

少女はニッと笑って走り去り
人混みの中に姿を消した。
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