クレソン・スピリッツ
案内人ガウスに導かれ
ミケル・マスデージは
リスト・ファミリアを訪れていた。

応接机を挟み、ミケルの前には
若き七代目リスト氏が
にこやかな笑みを浮かべている。

「マスデージさん。お噂はかねがね。
あなたにお会いできる日が来るとは
思いもしませんでした」

「はて。私、そんなに有名人ですか?」

「裏の世界であなたの名を知らない人間は、もぐりですよ」

組んだ手に顎を乗せ、
七代目リスト氏はミケルを上目遣いに観察した。

「史上最強の魔法使いにして
BRAの現役学園長
ガイラルディア王国繁栄の影の功労者。
あなたがいなければ、
この国はとっくに北のデスポート連邦に攻略されていたと聞きます」

「はは。噂に尾ひれが沢山ついていますよ。
私なんて、若作りが得意な
ただのご機嫌な高齢者です」

「またまた。御冗談を」
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