クレソン・スピリッツ
七代目リストはミケルの背中を摩った。
ミケルの涙はまだ止まらない。

「あなたの元でなら、
マリオンも幸せになれるでしょう。
私は引き止めません。
あとは、マリオンの意思に任せます」

「リストさん!」

「マリオンはここから二つ離れた通りのスラムに暮らしています。
ガウスに案内させましょう」

その時だった。
食堂内に少女の絶叫が響き渡った。

「七代目!」

栗毛をひとまとめにした
十代半ばくらいの少女だった。
間違いなくミケルが、
ここに来る途中
露店街の端でぶつかった少女だ。
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