クレソン・スピリッツ


ガーベラ通りから三つ離れた通りの裏。
地元マフィアが援助する
小規模スラムがある。

今は使われていない教会が、
家族を亡くした
子どもたち十数人の塒になっている。

「くそ、あのオヤジ。
マジで無茶苦茶しやがって!」

十代半ばの少女が、
乱れた栗毛をひとまとめに結んだ。
うなじから鎖骨にかけて
痛々しい内出血がある。

「孕んだらどうしてくれんだ……」

強く舌打ちし、
慣れた手つきで出血のある腕を処置する。
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