ガーベラの花
優里side

私は小さい頃から病院にいる。

心臓が弱く、度々発作が起きるため長い入院をすることもよくある。

もうこの環境にもすっかり慣れてしまった。

「香川さん。今日からこの病室に1人、患者さんが入るからね。」

「え?あ。はい。わかりました。」

「仲良くしてね??」

「はい!もちろんですっ!」

思えば、同じ病室の人ができるのは初めてかもしれない。

小さい頃は個室だったし。

どんな人がくるのかな?仲良くできるといいな。

「それにしても、今日はいい天気だね。」

窓の向こうの春の爽やかな風に向かって言う。

「君も元気よく咲いてるね。」

枕元の黄色のガーベラに向かっても言ってみる。

ガーベラは返事をするように小さく震えた。

「ふぁーあ。眠いなぁ……」

そしてそのまま春のまどろみへと身を任せてしまった。
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