その傷に契約を、その傷に唇を。
あーちゃんがいなくなって、蓮は強くなろと、大きくなろうとバスケを初めた。


最初はボールに遊ばれてるようなプレイだったけど、しばらくするとみるみる上達していってバスケ部のエースにまでなった。


そして成長期に入り女の子から騒がれるほどのかっこいいルックス、頭も良かったしその上スポーツもできる。


いつの間にかわたしが蓮のことを追いかけている立場になった。


「蓮にも会いたいなぁ。あいつもこの高校?」


あーちゃんは蓮が同じクラスだということに気付いてないみたい。


まぁ、あーちゃんも昔の面影なんてないけど同じくらいに蓮だって昔の面影なんてない。


気付かないのもムリはないだろう。


「あのね、蓮も同じクラスな」


同じクラスなんだよ、と言いかけてる最中にドンっと大きな音がしてバスケットボールが飛んできた。


渡り廊下にバウンドされたボールはそのあと静かにコロコロと転がる。


ボールが飛んできた方を見ると蓮の姿が。


「…蓮」


今日は部活に出たのかジャージ姿でこちらを睨んでいる。
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