その傷に契約を、その傷に唇を。
わたしが蓮の名前を呟くとあーちゃんは驚きながらボールを拾った。


「お前、あの蓮?あのチビの?久しぶりだなぁおい!元気だったか!?いやぁ、びっくしりした!全然わかんなかった!男前に成長したなぁ」


そう言うとあーちゃんは綺麗なフォームで蓮にボールをパスした。


「会いたかったよ!蓮!」


昔の友達に会えて嬉しそうに笑うあーちゃん。


それに対して蓮は先ほどと変わらずずっとこちらを威嚇するように睨んでいる。


「俺は会いたくなかったよ」


そう言うと体育館の方に静かに戻っていく蓮。


「ありゃりゃ。俺、嫌われてる?」


「ごめんね。蓮、機嫌悪いときいっつもあぁだから。気にしないで」


「ふぅん。まぁ人間、何年も経てば変わらないヤツもいれば変わるヤツもいるしな」


気にしてないというようにわたしの頭をクシャッとしたあーちゃん。


「俺的には和花が変わってなくて良かった!」


「ふふっ、あーちゃんも全く変わってないね」


優しくて頼もしくて元気をくれる、あーちゃんは昔からそんな男の子だったから。
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