その傷に契約を、その傷に唇を。
あれからどれくらい時間が経っただろうか。


蓮がわたしに欲を出して、自分はすぐに着替える。


わたしは動けずに蓮のベッドの上でその光景を見つめる。


「さっきさ、誰といたの?」


「さっき?」


上半身裸の蓮が振り向きながらしぼんだ風船のようにダラリと横になっているわたしに問いかける。


「さっき、電話したとき」


あぁ、そのことを聞いてるんだと、動かない脳みそがようやく理解した。


「あーちゃんと。一緒に下校したから」


「ふぅん。なぁ、アイツに俺たちの関係って教えた?」


あーちゃんどころか他の人にすら言えない関係。


「…言ってない」


「言えるわけないよな。俺が被害者で和花が加害者だなんて。そんなこと、言えないよな」


そう、わたしたちの関係が大きく変わったのはあの4年前のあの日。


わたしが蓮の未来を潰してしまったあの日からーーー
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