その傷に契約を、その傷に唇を。
次の日、


昼休みの時間に蓮が目を覚ました、と蓮のおばさんから連絡が入った。


先生も事情をわかってくれていたので早退させてくれてわたしは走りながら病院に向かった。


【神戸 蓮 様】と名札がかかっている病室をドキドキしながら開ける。


「蓮…?入るよ」


蓮は右腕に包帯をグルグル巻いてベッドに身体を預けている。


蓮が生きていただけでも本当に嬉しくて目頭が熱くなる。


「蓮、良かった。無事で本当に、良かったっ…!ごめんね、わたしのせいで。ごめんね」


蓮に頭を下げると蓮はわたしの髪に優しく触れた。


「…無事?身体は無事だったけど、な」


蓮の言っている意味がよくわからなくて顔を上げる。


そこにはわたしが今まで見たこともない蓮の冷めた顔。
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