その傷に契約を、その傷に唇を。
第一章「俺は会いたくなかったよ」
随分と昔の夢を見た。


あーちゃんと蓮がふたり一緒に出てくる夢なんてなかなかレア中のレアだ。


それもこれも久々にこの部屋に泊まって彼に抱かれたからかもしれない。


わたしは隣でぐっすりと寝ている蓮の髪をそっと触れた。



漆黒の艶のある髪に中性的な整っている綺麗な顔立ち、逞しい大きな身体は昔の面影なんて微塵もない。


それから、


右肩から肘まで延びている大きな傷跡。


4年前の中学2年生のときに蓮の身体に刻まれた傷跡。


それを見るのが辛すぎて、わたしは目を背けるように蓮の部屋を飛び出した。
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