あなたがすき
近づきたい
ずっとタイミングを見計らっていた。
先輩だし、パートは違うし、部活以外に接点が少ないから、なかなか言えなかった。
だから、今日、たまたま楽譜整理になったとき、迷わず手伝う候補に名乗り出た。
ハンコ押しが終わり、楽譜を準備室のキャビネットにしまった。
二人きりの音楽準備室。今しかない。そう思うと同時に、すっと手を伸ばした。
「ちょ、なに?」
思っていたより、小さくて細い肩。ぎゅっと抱き寄せた。
「すみません。ずっとこうしたかった。」
緊張で上ずりそうな声を、深呼吸で押さえた。
「俺、真優先輩が好きです。」
「え?」
「先輩のサックスも、優しい笑顔も、厳しい指導も、全部…好きです。」
目をつぶって、先輩の感触を心に刻んで、腕の力をゆるめた。
「答えは急がないです。ダメ元だし。」
先輩は、くるっと俺の方を見た。
「でも、少しだけでいいから、俺のこと、考えてくれませんか。」
先輩だし、パートは違うし、部活以外に接点が少ないから、なかなか言えなかった。
だから、今日、たまたま楽譜整理になったとき、迷わず手伝う候補に名乗り出た。
ハンコ押しが終わり、楽譜を準備室のキャビネットにしまった。
二人きりの音楽準備室。今しかない。そう思うと同時に、すっと手を伸ばした。
「ちょ、なに?」
思っていたより、小さくて細い肩。ぎゅっと抱き寄せた。
「すみません。ずっとこうしたかった。」
緊張で上ずりそうな声を、深呼吸で押さえた。
「俺、真優先輩が好きです。」
「え?」
「先輩のサックスも、優しい笑顔も、厳しい指導も、全部…好きです。」
目をつぶって、先輩の感触を心に刻んで、腕の力をゆるめた。
「答えは急がないです。ダメ元だし。」
先輩は、くるっと俺の方を見た。
「でも、少しだけでいいから、俺のこと、考えてくれませんか。」
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