あなたがすき
寒いのも悪くない
寒いのはキライだって、君は言う。私も同じ。寒いのはキライ。

「でも、女子の方が寒いの、強そう。」
「えー、そうかな。」

並んで歩く駅までの道、寒くてマフラーに口元まで埋もれながら歩かないと、耐えられない。

「一番寒いのはどこ?」

改めて聞かれると、分からないな…と、首をかしげると、矢継ぎ早に質問が投げられた。

「じゃあ、2番目は?」
「いや、うーん…」
「分かった。何番でもいいや。」

そういうと、私の右手を君が自分のポケットに突っ込んだ。

「冷たい手しやがって。」

寒いのも、悪くない。

「あ、ありがとう。」

耳まで真っ赤だよ。
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