あなたがすき
まだ夢の中
よく寝てるな。

初めの印象から、全く変わりなく、彼は今日も定位置で熟睡中。1年生で剣道部らしい。名前は…なんだっけ?まあ、いいか。

彼の定位置は、過去の私の定位置。窓際のカウンターからは見えづらい、人もあまり来ない書架の近く。自習するにはちょうどいい場所だったんだけどな。

ほぼ毎日同じことになるのに、私は今日も参考書とノートと筆箱持って、あーあと思いながら座った。

なんか、集中できないんだよね。

それでもくじけず、ちょっとはページをめくる。

視界に、彼のふわふわの髪の毛が入ってくる。

すやすや眠った姿。子犬みたい。

いや、集中集中…

いつもだったら、イヤになって、書架に逃げる。でも、本当は…

触れたら、どうなるのかな。

今日も同じ思考の渦にいた。触れたら…

そっと、手を伸ばした。そっと、触れてみた。

「うーん…」

ビクッとして、手を離したけど、まだ夢の中らしい。
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