あなたがすき
ウソ寝の子犬
今日も相変わらずよく寝ている。
昨日忘れていた彼の名前を、教室に帰ったら思い出した。佐田くん。文化祭の時に、剣道部の五十嵐くんに紹介されたんだった。
でも何で、2週間前から、ここで昼寝しているんだろう。そして、何で私は、今日も結局出来ないだろう自習道具持って来てるんだろう。
とりあえず座って、寝入っている佐田くんを眺めた。長いまつげ。右目の下の泣きぼくろ。気持ち良さそうに寝てる。
なんだろう、その、ふわふわの髪の毛、触りたくなるんだよな…
昨日起きなかったから、大丈夫かな。
またそっと手を伸ばして、今日は少し撫でるみたいに触れてみた。
ふわふわ。
そんなことをしていたら、手首をぎゅっとつかまれた。
「つかまえた。」
どきっとしたけど、図書室だから、という自主規制から、口に手を当てて、声を殺した。
「須藤先輩、つかまえた。」
子犬に甘噛みされた、そんな気がした。
昨日忘れていた彼の名前を、教室に帰ったら思い出した。佐田くん。文化祭の時に、剣道部の五十嵐くんに紹介されたんだった。
でも何で、2週間前から、ここで昼寝しているんだろう。そして、何で私は、今日も結局出来ないだろう自習道具持って来てるんだろう。
とりあえず座って、寝入っている佐田くんを眺めた。長いまつげ。右目の下の泣きぼくろ。気持ち良さそうに寝てる。
なんだろう、その、ふわふわの髪の毛、触りたくなるんだよな…
昨日起きなかったから、大丈夫かな。
またそっと手を伸ばして、今日は少し撫でるみたいに触れてみた。
ふわふわ。
そんなことをしていたら、手首をぎゅっとつかまれた。
「つかまえた。」
どきっとしたけど、図書室だから、という自主規制から、口に手を当てて、声を殺した。
「須藤先輩、つかまえた。」
子犬に甘噛みされた、そんな気がした。