あなたがすき
something
居づらい。なんか、教室に居づらい。気になって居づらい。

滝原くんに校舎裏で話して以来、教室に居づらい。だから、なるべく教室に居ないように、お昼もそそくさ食べて、校舎裏だとまた会うかも知れないから、隠れられる図書室に逃げるようになった。

斜め前の席だから、嫌でも目に入るキレイな姿勢の背中。ほどよく筋肉ついてそうとか、そんなことを時々思っては、頭をぶんぶん振って邪念を追い払う。

「キレイなんだけど、力もありそうな指だなって。」

私、本当はあまり好きじゃなかったんだけどな。触れたところがどこだったか、あいまいになってきたけど、じっと手を見て思い出す。

「見つけた。」

ビックリして顔をあげると、滝原くんがいた。

「探したよ、話したいなって思っても、いないから。」
「な、何を?」
「ん、特に…」

ドキドキした気持ちが、ぷすっと抜けた。笑ってしまった。

「私も、話したかった。」
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