あなたがすき
伝わる
一人じゃないよ。
なんて温かい言葉なんだろうと思った。今まで、自分だけに読み取れてしまった言葉たちで、私は自分と世界の接点を削っていっていた。信じることのできるものとだけ、それだけでなんとか生きていけると思い込んですらいた。

「全部じゃないんだ。ただ、頭は8割ぐらい…」

すっと後ろから、津田くんの腕が伸びて、ぎゅっとされた。頭に津田くんのアゴが乗っかった。

"守ってあげたいって、初めて思った"

目を閉じて、流れてくる言葉を、ゆっくり受け取った。頭の中が、津田くんの言葉で満たされていった。

腕の温度と温かい言葉が、かさついていた心の中を潤すような気がした。

「ごめん、こんなことして。」

私はかぶりをふった。

「いやじゃ、ないよ。」

津田くんの腕が、少し強まった。

"好きだ。いつの間にか、好きになってた。答えは急がないから。"

私はゆっくりうなずいた。

「ありがとう。」
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