あなたがすき
下の名前
雨の日は苦手だ。
「クラリネット、誰か音程低い!」
楽器がうまく鳴らない。梅雨時はいつもそうだ。それが分かっているから、部活に向かう足が重たい。
「どした?」
後ろから来た、隣のクラスの佐田くんに声をかけられた。
「雨の日、苦手なんだよね。」
「そっか。」
でも部活には行かなくちゃいけない。サボれば、ただでさえ引っ張り気味の先輩方の足をさらに引っ張り、さらに怒られるだけだ。
「でもさ…」
佐田くんは私の前に回り込んだ。
「俺は頑張ってる原さん、えらいなって思うよ。」
「あ、ありがとう。」
突然の言葉に、少しビックリした。
「俺さ…」
少しだけ沈黙が流れた。
「佑香ちゃんのクラの音、好きだよ。」
そう言うと、佐田くんは私の頭をぽんぽんと撫でた。
「あのさ、佑香ちゃんって呼んでいい?」
私はうなずくことしかできなかった。
「クラリネット、誰か音程低い!」
楽器がうまく鳴らない。梅雨時はいつもそうだ。それが分かっているから、部活に向かう足が重たい。
「どした?」
後ろから来た、隣のクラスの佐田くんに声をかけられた。
「雨の日、苦手なんだよね。」
「そっか。」
でも部活には行かなくちゃいけない。サボれば、ただでさえ引っ張り気味の先輩方の足をさらに引っ張り、さらに怒られるだけだ。
「でもさ…」
佐田くんは私の前に回り込んだ。
「俺は頑張ってる原さん、えらいなって思うよ。」
「あ、ありがとう。」
突然の言葉に、少しビックリした。
「俺さ…」
少しだけ沈黙が流れた。
「佑香ちゃんのクラの音、好きだよ。」
そう言うと、佐田くんは私の頭をぽんぽんと撫でた。
「あのさ、佑香ちゃんって呼んでいい?」
私はうなずくことしかできなかった。