あなたがすき
誰がために
弾けない。譜読み段階での弾けなさ加減に、ただ焦っていた。難しいから仕方ないんだけど。
部活ではないから、楽器持ってきて練習するのは気が引ける。でも少しでも何とかしたくて、昼休みにウォークマンと譜面を持って、校舎裏で音の流れを頭に詰め込んだ。
ほとんど人が来ないから、集中することができたけど、集中しすぎて回りが見えていなかった。
片側の音が消えた。ビックリしてその方向を見ると、同じクラスの滝原くんがいた。
「なに聞いてるの?」
隣にすとんと座って、私から外したイヤホンを、自分の耳に入れた。近い…近すぎて、ドキドキする。
「カノン。今度オケでやるの。」
ふーん、と言ってそのまま聞いていた。指が重なってるよ…近い…
「いい曲だね。」
「でも、難しくて。」
イヤホンを返して、滝原くんが立ち上がった。
「じゃあ、聴きに行くから、俺のために頑張れ!」
髪をくしゃっとして行った。
部活ではないから、楽器持ってきて練習するのは気が引ける。でも少しでも何とかしたくて、昼休みにウォークマンと譜面を持って、校舎裏で音の流れを頭に詰め込んだ。
ほとんど人が来ないから、集中することができたけど、集中しすぎて回りが見えていなかった。
片側の音が消えた。ビックリしてその方向を見ると、同じクラスの滝原くんがいた。
「なに聞いてるの?」
隣にすとんと座って、私から外したイヤホンを、自分の耳に入れた。近い…近すぎて、ドキドキする。
「カノン。今度オケでやるの。」
ふーん、と言ってそのまま聞いていた。指が重なってるよ…近い…
「いい曲だね。」
「でも、難しくて。」
イヤホンを返して、滝原くんが立ち上がった。
「じゃあ、聴きに行くから、俺のために頑張れ!」
髪をくしゃっとして行った。