僕は君のことが好きだった。
「もしもし、あ、倉野?向河原駅前にできた新しい雑貨屋に行くから、車出して。」

花香が執事の倉野(クラノ)さんに電話をしていた。

最新のスマートフォンで。

さすがは全国で1、2位を争う一流企業の社長令嬢。

僕の父さんも、一流企業の社長らしいけどな。

花香が電話をかけて、10分もしないうちに黒塗りのベンツが校門前に止まった。

「かっこいい!」

と言いながら、多くの後輩が校門前に群がる。

「ほら、拓、早く乗って。」

多くの後輩の視線を浴びながらも、黒塗りのベンツは花香の合図で発車した。
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