何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
彼と同じ高さでもこの人に見下されるのは嫌だ。
なんか凄くムカつく様な気がする。


拳を握りしめながら私は笑顔を作る。



「すみません、ぶつかってしまって。
貴方こそお怪我はありませんか?」



敢えて小さいという言葉にコメントはしなかった。

小刻みに震える拳に気が付かれない様に私は笑顔を浮かべ続けた。



「……怪我はねぇよ。
でもスゲェ傷ついてる」

「はい?」



男の言葉に私は首を傾げた。
怪我をしてないのに一体どこが傷つくと言うのだろうか。
不審がる私に対し男はわざとらしくタメ息をついた。



「ココだよココ。
傷ついたのは俺のハート」



そう言いながら親指で自分の胸を指す男。


その言葉と仕草で察した事がある。
この男はチャライと。


見た目も誠実とはかけ離れた外見だ。
……格好良い事は認めるが。


それでも私を助けてくれたスマートさから王子様の様なイメージを勝手に持っていた分、虚しさだけが胸へと刻み込まれた。
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