何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「ねぇ遥斗、レイヤのどんな所が気に入ったの?」




あれからレイヤと別れた私と遥斗は暗い道を2人で歩いていた。


月明かりが私たちを優しく照らしてくれる。
くっきりと地面に映る影は私たちが寄り添っているようにも見える。


そんなロマンチックな事を思いながら私は気になっていた事を聞いた。


遥斗とレイヤが出逢って数時間も経っていない。
会話なんてほんの少しだ。


なのに遥斗はレイヤの事を豪く気に入ったみたいだ。
だからその理由が知りたかった。



「あぁ?どこって……そうだなー……」



考え込む様に腕を組みながら歩く遥斗。

よほど悩んでいるのか歩くペースが遅くなった。


そこまで悩む事なの……?
難しそうな顔で唸る遥斗を見ていたらクスリと笑みが零れた。



「なに笑ってんだよ!」

「い……いた……い」



いきなり頬っぺたを強く抓られる。
不機嫌そうな顔をする遥斗が可愛いと思えるのは気のせいだろうか?



「なに笑ってんだって聞いてんだよ!」

「か……可愛いって……思っただけ……」



頬を引っ張られているせいで上手く言葉が出せない。
それを愉快そうに見る遥斗。
でも私の言葉を理解したのか目を見開いて固まってしまった。



「か……可愛いって……男に言う台詞じゃねぇよ!」

「ご……ごめん」



じんじんと痛みが広がる頬に限界を感じた私は素直に謝った。
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