何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
無防備なその姿が凄くくすぐったい。



「レイヤ、重いよー」

「我慢しろ」

「もうー」



そんなやり取りをしていると、コツコツと足音が聞こえてくる。
それはピタリと私たちの前で止まった。



「レイ」



綺麗な女の人。
第一印象がこれだった。


女の人の手には大きな花束がある。
その花は綺麗だったけど、それよりも目に浮かぶ涙の方が気になった。


多分……この人もレイヤの事が好きだったんだろうな。


そう思うと、ココにいていいか迷ってしまう。
いや、良くないよね。


立ち上がろうとすれば急にレイヤに手を握りしめられる。



「……」

「レイ……?」



人前という事もあり源氏名で呼ぶ。
まぁ本人は気にしていないみたいだけど……。


それよりもどうしたのだろうか、首を傾げるより前にレイヤは口を開いた。



「行くな」

「でも……」

「いいから」



ピシャリと言い切られてしまったからには何も言えない。
せめて黙っていよう、そう思い口を閉じる。


それを見計らって女の人は話し出した。
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