何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～

「……お店……辞めちゃうのね」

「あぁ」



即答するレイヤに心の中でタメ息をつく。


本当に女心が分からないんだから。
女の人の目に涙が浮かんでいるの見えていないのかな……。
軽く目を向ければ涙を零すまいと必死に笑顔を浮かべていた。




「ねぇ……レイ私ね……貴方が……」

「……もうソロソロ帰れ。
今はコイツの相手をしている」



女の人の言葉を遮りレイは冷たく言い放った。


いくらなんでもその言い方はないんじゃない？
そう思い口を開こうとする。


でも……。



「っ……ごめんなさい。
これだけでも受け取ってくださいっ……」



女の人は震える唇で弧を描くと花束を押し付けて走っていってしまう。



「……追いかけなくていいの？」

「……」

「あの人の気持ち、分かってるんでしょ？」



私の言葉に黙ったまま頷くレイヤ。


知っているなら、何でそんなに冷たくするの？
あの人今頃……泣いているに違いない。
好きな人に冷たくされたら誰だって悲しいもの。



「……私ちょっと行ってくる」

「おい、梓沙……！」



レイヤの声を無視して私は女の人が走っていた方に足を進める。