何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「お前さ~作り笑顔ばっかり浮かべてたら……。
本当に笑えなくなるから程々にしとけよ」



男の顔から笑顔が消えて、真剣な表情へと変わった。
その変わり様に私の心は音を立てて弾むのが分かった。



「おい聞いてんのか?」

「き……聞いています。
って言うか……近づかないで下さい!」



男は私が離れるたびに距離を詰めてくる。
私の反応を楽しむかの様にニヤニヤと見つめてくる。


さっきの真剣な顔は一気に消え去っていた。
それもあり私の胸の高鳴りは跡形もなくなくなっていた。



「近づくなって言われると近付きたくなるよな。
……恋愛と一緒で……」

「はい?」

「好きになっちゃいけない奴ほど……燃えるだろ?」



訳の分からない自論を語りながら男の人は私を見下ろす。

この人、頭がおかしいのではないか。
失礼な事を思いながらも私は笑顔を作った。



「好きになっちゃいけない人と恋をした事がないから分かりません」

「……ったく……作り笑顔はやめろって言っただろーが」



軽くタメ息をついて私の顎を上へと持ち上げた。



「その笑顔を見てるとこっちが虚しくなるんだよ。
……いっその事……俺がお前を笑わせてやろうか?」

「え……?」



男がまたもや真剣な顔つきで私を見ていた。
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