何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「もう1度だけでいいんです。
このままじゃ……あの人は前に進めないから……」

「……頭を上げてください」

「……」



ヨウコさんの言葉にゆっくりと頭を上げる。
そうすれば優しく笑う彼女が目に映った。



「よく分かりませんが、貴方がそこまで言うなら……。
もう1度だけ行ってみたいと思います」

「あ……ありがとうございます!」



嬉しさで顔が緩む。
そんな私を見ながらヨウコさんは幸せそうに微笑んでくれる。



「貴方の笑顔を見ると凄く元気が出ます」

「え!?そんな大したものじゃないですよ!!」

「いえ、凄く温かい笑顔です」

「あ……ありがとうございます」



なんか恥ずかしいな、そんな事初めて言われたし。
ポリポリと頬を掻けばヨウコさんはクスッと笑う。



「照れた顔もまた可愛いですね。
……彼氏さんもそう思うでしょ?」

「へ?」



彼氏?疑問に思いながらヨウコさんの視線を辿ればそこには遥斗がいた。
……ヨウコさんは遥斗の事を私の彼氏だって思ってるのかな?
驚きが隠せず呆然とする私。
あっ、訂正しなきゃ、そう思い口を開こうとすれば



「はい。
コイツの笑顔も照れた顔も凄く可愛いと思います」



否定する訳でもなく、遥斗は笑顔でヨウコさんに言っていた。




「なっ……!?」

「ふふっ、梓沙さん愛されているんですね。凄く羨ましいです!」

「え……ちょっとヨウコさん……!?」

「では私はこれで、失礼します」



ヨウコさんは満面な笑みを見ながら何でも屋を後にした。
最後に『お幸せに』という言葉を残して。
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