何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「お前、婚約者がいるのにそんな事言っていいのかよ」

「あっ……」



遥斗の言葉に目を見開いた。
私は何を言っているのだろうか。
自分で言ったくせに、凄く驚いていた。


拓哉さんの事が好きなのに。
今の言い方じゃあ、私は彼の事を本気で愛していないと言う事になる。



「まぁ、いいけどな。
どっちかって言うと……お前がそう思ってる方が俺にとっては都合がいい」

「え……どうして……?」

「お前とアイツは似合わねぇからな」

「……分かってるよ。
私なんかじゃ……拓哉さんと釣り合わない」



普通の人だったら凄く傷つく言葉かもしれない。
でも私にとっては何でもなかった。


だって、何十回も、何百回も言われてきたから。
拓哉さんの両親や、拓哉さんの周りの女性……。
数え切れない人に同じような事を言われた。


だから“哀しい”なんて気持ちはとっくの昔に無くなっている。


そう思っていれば、呆れた様な声が聞こえてくる。
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