何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～
「拓哉、梓沙さん、お帰りなさい」



屋敷の中へと入ればバッタリと珍しい人たちと会ってしまった。
それは拓哉さんのご両親だ。
お2人はお忙しい方でこの屋敷にいるのは珍しい。
だから会うのは久しぶりだ。



「……」

「ただ今戻りました」



拓哉さんは口を開こうとせず、ただご両親を鋭い目つきで見据えていた。


拓哉さんとご両親の仲は正直に言って良くない。
最初からあまり良くなかったみたいだが、私との交際を反対された辺りからは取り返しがつかないものへとなっていた。



「今日は貴方たちに話があるわ」

「……別れろと言われても別れる気はない」



お義母様の言葉に拓哉さんは低い声で言い放つ。
そんな様子を見ながらお義母様はタメ息をついた。



「今さらそんな事は言わないわ」



お義母様の言葉に拓哉さんの鋭い目つきが少しだけ緩む。



「実は今度の日曜日にパーティーがあるんだ。
それに2人で参加して欲しい」



さっきまで黙っていたお義父様が笑顔で言う。


“パーティー”
その言葉に胸が痛みだす。


また行かなければいけないのか。
そう思うだけで気分が落ち込むのが分かる。
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