何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～
遥斗の優しさに、私はずっと守られ続けてきたんだ。
彼が温かく見守ってくれていたから、私は自分がどうしたいのかをちゃんと自分で考えることが出来た。
他の誰かの意思じゃなくて、私の意思で……。



「梓沙……？」



私は遥斗の胸板を押し体を離す。
不思議そうに私を見る遥斗。
その瞳は不安げに揺れていた。
そんな瞳を真っ直ぐに見ながら私は決意したように口を開いた。



「私は変わりたい……。
自由に生きたいの、貴方の様な真っ直ぐな生き方がしたい！！」



遥斗はいつだって真っ直ぐだった。
その真っ直ぐさに憧れて、彼の様に沢山の人を笑顔に出来る様な人間になりたいと思った。


誰かの顔色を伺うばかりの生活なんて、そんな人生は間違っている。
もっと自分の為に生きていいんだ。


そんな当たり前のことを私は忘れていた。



「……ふっ……よく言った。
お前はもう自由になっていいんだ。
お前の人生だ、好きに生きようぜ！」



遥斗の顔が優しく緩む。
柔らかい笑みを浮かべながら、遥斗は私の頭を撫でる。


その手つきが、声が、顔が
遥斗の全てが私の背中を押してくれる。



「うん！！」



もう迷わない。
私は変わってみせる。


これからは自分に、遥斗に恥じない生き方をしたい。



「いい笑顔だな」

「……ありがとう」



遥斗が笑えば私の心はトクンと心地よく揺れ動く。



「ばーか！俺は何もしてねぇだろ？」

「ううん、遥斗がいたから私は前を向こうと決めたの」

「可愛いこと言うんじゃねぇよ」




からかう様に遥斗は軽口をたたくけど、私は本当にそう思っているよ。
遥斗に出逢わなければ今の私は絶対にいないから。


だから……。


貴方に会えてよかったよ。
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