何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
貴方を支えたい
ホテルの部屋から逃げ出した私と遥斗は、レイヤと合流して何でも屋のオフィスへとやって来た。
レイヤとソファーに座っていれば、さっきまでオフィスの上にある自分の家に帰っていた遥斗が私に向かって何かを投げつけてきた。


「なに、これ!?」


私の手には黒いスエットがあった。
不思議そうに眺めていれば遥斗はタメ息をつく。



「お前自分がドレスだって事を忘れてねぇか?
汚しちまったら大変だろーが!責任とれって言っても俺は払えねぇからな!」



冗談っぽく言う遥斗に思わず目を見開く。


こういう反応って新鮮だ……。
拓哉さんと一緒にいると高価なモノの価値が薄れてしまう感じがした。
彼はどんなに高い物でも何とも思っていないかの様に扱う。


だけど遥斗は私と同じ感覚なんだ。


そんな些細な事がすごく嬉しく感じた。



「分かった……着替えてくるね!」

「おー」



気の抜けた返事をする遥斗に送り出されながら私はトイレへと向かった。
< 185 / 430 >

この作品をシェア

pagetop