何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「昨日の事は忘れろ」

「え……?
何言って……」



遥斗の声は少し震えていた。

でも、そんな事が気にならないくらい私の頭は混乱していた。


忘れろって……。
忘れられる訳ないじゃない……。


遥斗の言葉を信じたくなくて無理やり笑顔を作った。



「後悔してないって言ってるじゃん!
だから忘れる必要なんて……」

「忘れた方がいいんだ!
お前にとっては……」



遥斗は1度言葉を区切ると、すぐに続きを言った。
まるで私が何かを話すのを阻止する様に……。



「本当に悪かった、どうかしてたわ俺……」

「ねぇ遥……」

「だからお前は忘れろ……全部……」



頭の中が真っ白になるってこんな感じなのだろう。
もう……何も考えたくない。
何も考えられない。



「そうだね。
……うん……忘れる……」

「あぁ」

「……私……帰るね」

「……あぁ」

「……お世話になりました」



私は遥斗の背中に頭を下げると自分の荷物やドレスを掴み走り出した。
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