何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「こんな所でサボって陰口を言うような人たちに……社長を悪く言う資格なんてありませんよ」

「き……如月さん!?」



私を見るなり女子社員達は後ずさっていた。

そして開き直った様に私を睨みつける。



「何よ!
金の為に社長と婚約したくせに!」

「お金なんて興味ありませんよ」



お金なんていらない。
私は好きな人と一緒にいられればそれだけで十分だ。


寧ろ……。



「お金なんてあったって……幸せとは限らない……」



これが私の本音だった。


柊家に住むようになってから私の心は少しずつ壊れていった。
大きな家も、運転手つきの車も、執事もメイドも……。


何もかもが私を苦しめた。



「アンタ何言ってんのよ!」

「そうよ!お金があったら幸せに決まってるじゃない!
私たちを馬鹿にしてる訳!?」



さっきまで後ずさっていた女たちは私に近づいてくる。
そしてドンと私の体を押し飛ばした。



「痛ッ……」



背中を壁にぶつけながら床へと崩れ落ちてしまう。
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