何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「随分とまぁ暗くなってるね」

「……お義兄さん……何しに来られたんですか?」

「ふふっ。
可愛い義妹の様子を見に来ちゃいけない?」



お義兄さんは柔らかい笑みを浮かべながら私が座っているベッドの淵に腰を掛けた。
拓哉さんと血のつながった兄弟のはずなのに性格が全く違う2人。


拓哉さんが黒ならお義兄さんは白って感じだろう。


優しい笑みを浮かべたお義兄さんの顔は確かに笑っている。
でもどこか冷たく感じるんだ。


昔から私はこの人が苦手だった。
拓哉さんは私が男の人と関わるのを嫌がっていたからお義兄さんといえども会う機会はそれほどなかったという事もあり、苦手という気持ちは消える事はなかった。



「まぁ……こんな監禁みたいな事をされたら気分も沈むよね」

「……」



黙っていればお義兄さんは私の肩を抱き寄せ怪しげな声で囁く。



「俺がこの部屋から出してあげよっか?」

「っ……!!」



願ってもない事を言われて私は思わずお義兄さんの顔を見つめてしまう。
ニコリと笑うその顔は寒気を感じる物だった。



「……どうする?」

「……お願いします」



何かを企んでいるかもしれない。
そうじゃなければこんな事は言わないだろう。


そう思ったけど、藁にも縋る思いで私はお義兄さんの手を掴んだ。
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