何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
お義兄さんと一緒という事もあり、いとも簡単に部屋から出れてしまった。
私たちに頭を下げるSPたちを横目で見ながら僅かな希望の光が少しずつ大きくなる事を感じていた。



お義兄さんは私の手を引きながらどんどんと歩いていく。
私は逆らう事もせずその後を追う。


でも不安が消えてはくれない。
だってこの奥には出口なんてないから。


この先にあるのは……。



「はい、到着」



満面な笑みを浮かべるお義兄さんを見ながら私は顔を引き攣らせた。
だってここは……。



「お義兄さんの部屋……ですよね?」



まだ入った事はないとはいえ確かにお義兄さんの部屋だったから。
騙された?
その一心でお義兄さんを睨めば、面白そうにお腹を抱えて笑い出す。



「本当に可愛いねキミは!!
『俺がこの部屋から出してあげよっか?』とは言ったけど……。
外に出してあげるとは言ってないのに、勝手に誤解して……」



クスクスと笑いながらお義兄さんは私を部屋の中へと押した。
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