何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「こんな単純だから他の男に引っかかるんだよ。
拓哉が監禁する理由も分かるよ」



未だ笑い続けるお義兄さんを睨みつけながら一定の距離を保つ。
警戒心を放つ私とは対称的にお義兄さんは呑気に笑っている。



「キミの人生は終わっているんだよ。
拓哉に惚れられたその日から……。
いや、柊家に関わった日から……かな」



お義兄さんは楽しそうに言っているはずなのに……。
その瞳は哀しげに揺れている様に見えた。


何かを抱えているかの様な瞳に何も言えなくなる。
きっと……私には分からない何かが……。



「お義兄さん……。
私は終わってるなんて思っていませんよ」

「は……?
好きでもない人間に監禁されているのに……?」

「……それは私が悪いですから。
それに……拓哉さんを好きになった事を後悔なんてしていません」



私が言えばお義兄さんは苦しそうに顔を歪めた。
そして胸を押さえながら俯きだす。



「……何で……そんなに強いんだよ……。
俺と一緒なはずなのに……俺は……」

「お義兄さん……?」



お義兄さんの言葉の意味が分からなかった。
でもその体は酷く震えている。
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