何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「何処へ行っていた?」

「た……拓哉さん……」



拓哉さんの部屋に戻れば壁に寄りかかったまま私に視線を向けた。
その瞳は鋭く光っている様に見える。


怒っている。
そんな事は誰が見ても一目瞭然だった。



「お……お帰りなさい……」



場違いともいえる台詞を言いながら私は笑顔を向けた。
そうでもしなきゃ立っていられないほどの恐怖を感じていたから。



「……来い」

「拓哉さん!?」



腕を引っ張られ胸の中へと閉じ込められる。
強く抱きしめられ体に痛みが走る。



「痛ッ……」

「……男の匂いがする」

「え……」



拓哉さんの発言に驚き顔を上げれば鋭い目つきで見下ろされる。
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