何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
サンタがくれた奇跡
外の世界と関わらなくなってからどれくらいの月日が流れたのだろうか。
この部屋にはカレンダーはないから何日かもわからない。
スマホは拓哉さんに取り上げられてしまったし……。
日にちを数えるのも随分前にやめてしまった。


だから今日が何月何日なのか、なんて私には分からない。
いや、必要ないのかもしれない。
生きている限り、私は拓哉さんのものであるという事実は変わらないのだから。



頼りの窓も外が見れない様に細工がされている。
私にとってこの屋敷だけが必要な場所なのだ。


……窮屈だと言えば窮屈だけど……。
拓哉さんが幸せならそれでいい。
それでいいんだ……。


自分に言い聞かせる様に何度も何度も繰り返す。



「私は……拓哉さんのもの。
拓哉さんだけを愛せばいい……」



愛せばいい。
そう言う度に私の頭にはアイツが浮かんでくるんだ。


自分勝手に私を振り回して……。
私の心を奪っておいて呑気に笑っているあの男。


遥斗の顔が頭から離れないのよ!


半ば八つ当たりをしながら私は枕に顔を埋める。
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