何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
悔しさに胸を痛めていれば、コツンと頭を叩かれる。



「痛ッ……!」

「お前の事だから変な誤解をしている事だろう。
だから先に言っておく。
お前が行くべき場所はあの屋敷じゃないだろう」

「……え……?」

「他に行くべき場所がある。
それが公園だ」



公園だ、って言われても……。
戸惑っていればレイヤが乱暴に私の頭を撫でまわす。
痛くはないが髪の毛がクシャクシャになっていく……。



「ちょっと髪が……」

「どうせ走るんだ気にしなくていい」

「そういう事じゃなくて……」

「……じゃあ直して貰えばいい」

「え……」



その言葉にトクンと胸が高鳴る。


直して貰うって誰に……。
尋ねる前にレイヤはタメ息をついて私の言葉を遮る。



「早く行け。
じゃないと怒り出すぞ。
あの人は短期だからな」



呆れた様に言うがその顔は優しかった。


その表情や言葉から分かってしまったんだ。
公園にいる人が誰か。



「っ……ありがとうレイヤ!!
気を付けて……また後で!!」



私はレイヤにお礼を言うと公園に向かって走り出す。
振り返ることなくただ真っ直ぐに……。
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